郡家別院では若手僧侶の集まりである「仏教青年会」のコラムをまとめた『仏青通信』を配布しています。ホームページ転載にあたり、一部加筆、修正を行っています。
最近一動作ごとによくかけ声がでるようになりました。
重いものを持ち上げるとき、立ち上がるとき、座るとき、何か行動を起こすときに無意識に「どっこいしょ」とかけ声がでてしまう……身に覚えがある方も結構いるのではないでしょうか。

「どっこいしょ」という言葉、口にしていると歳をとった証拠だよといわれたりしますが、元は仏教用語の「六根清浄」という言葉が語源という説があります。
「根」は感覚器官やその働きのことを指し、六根とは六つの感覚である眼根(視覚)、耳根(聴覚)、鼻根(嗅覚)、舌根(味覚)、身根(触覚)、意根(心、内面的なもの)のことをいいます。
人はこの六つの感覚により欲望や執着などの煩悩が起こるといわれています。
六根清浄とは煩悩の苦しみから離れるために六根を清らかにすることを意味しているそうです。
昔、修行者が山に入って「六根清浄」と唱えながら修行し、疲れてくるとだんだんと言葉が訛ってきてそれが周囲の人には「どっこいしょ」と聞こえたようです。そこから一般にも広まり使用されるようになったそうです。
親鸞聖人の言葉で「凡夫といふは、無明煩悩われらが身にみちみちて、欲もおほく、いかり、はらだち、そねみ、ねたむこころおほくひまなくして、臨終の一念にいたるまで、とどまらず、きえず、たえず」というものがあります。
凡夫とは様々な煩悩を抱えた私たちでありその煩悩は臨終のときまで消えることはないということです。心身の清浄を願い「六根清浄」と言葉にしてみても生きている限り煩悩が消えることがないのが現実でしょう。
大晦日に自坊で除夜の鐘を撞きました、もちろん「かけ声」とともに。尽きることのない煩悩とともに鐘を撞き、この身をそのままで救ってくださるという阿弥陀様に感謝の念を抱き「お念仏」とともに迎えた新年となりました。
なむあみだぶつ なむあみだぶつ……
8南組楠木寺
楠見浄大