郡家別院では若手僧侶の集まりである「仏教青年会」のコラムをまとめた『仏青通信』を配布しています。ホームページ転載にあたり、一部加筆、修正を行っています。
仏教では私たちは五つの命の事実を抱えて生きていると教えてくださっております。
誰もが抱えている命の本当のこと、それが五つあるといいます。
一つ目は、人生は一回限りという事。
これは皆さん分かっていると思います、二回目はありません。
二つ目は、やり直しがきかないという事。
つまり若くなれない、八十歳の人が二十歳に戻れないということです。
三つ目は、どんなにつらい思いをしても、誰も代わってくれないという事。
私とあなたは交代できません。
四つ目は、必ず終わりが来るという事。
五つ目はその終わりがいつ来るか分からないという事です。
この五つが私たちの命の事実です。
この五つの命の事実を抱えた私たちが、どう毎日を過ごせば良いのか。
一回限りの人生だったら毎日を大事にしないといけない。
やり直しがきかないのだったら、今を、この瞬間を大切にしないといけない。
どんなにつらい思いをしても、重い病気になったとしても、誰も代わってくれないのだったら、そのつらい事も引き受けていける私にならないといけない。
終わりがあるから今の命が大切。
いつ終わりが来るのか分からない、突然終わりが来るかもしれないのだったら、今となりにいる人、私の人生最後の人となるかもしれない、今となりにいる人を大切にしないといけない。
こう教えてくださっているのが仏教です。
人は体が衰えてもただ一つ、口だけは衰えません。
それは、私たちは自分一人で生きているつもりでも、必ず多くの人に助けられて生きています。
このことに対して柔らかな感謝の言葉を残すためです。
やり直しのきかない一度きりの人生、生まれてきてよかったと言えるものにしたいものです。
合掌
光明寺 直井了純