【仏青通信】仏教の色

郡家別院では若手僧侶の集まりである「仏教青年会」のコラムをまとめた『仏青通信』を配布しています。ホームページ転載にあたり、一部加筆、修正を行っています。

 お寺の法要などで目にする幕や吹き流し、仏旗などに使われている赤・黄・白・緑・紫の五つの色にそれぞれ意味があることをご存知でしょうか?

本山興正寺の仏旗

 この五色はお釈迦さまとその教えを表しています。

  • 赤…お釈迦さまの血液の色で人を救済しようとする慈悲心が止むことがない「精進(しょうじん)」
  • 黄…お釈迦さまの身体の色で豊かな姿で確固とした揺るぎない性質の「金剛(こんごう)」
  • 白…お釈迦さまの歯の色で清らかな心で諸々の悪業や煩悩の苦しみを清める「清浄(しょうじょう)」
  • 緑…お釈迦さまの毛髪の色で心を乱されず穏やかな状態で力強く生き抜く「定根(じょうこん)」や「禅定(ぜんじょう)」
  • 紫…お釈迦さまの袈裟の色であらゆる侮辱や迫害、誘惑などによく耐えて怒らぬ「忍辱(にんにく)」

をそれぞれ表しています。(緑は青、紫は橙や黒が使われることもあります)

また仏旗に関しては五色が横に並んで、右端に今度は縦に五色が並んだデザインになっていて「六金色旗(ろっこんじきき)」と呼ばれています。

「五色なのに六色?」と思われたかもしれませんが、これはお釈迦さまが亡くなられたときに赤・黄・白・青(緑)・玻璃(はり)・瑪瑙(めのう)の六色の光を放たれたということに由来しています。

瑪瑙の色は産出地によって様々な色があるそうで仏旗では紫や橙(正確には樺でインドやタイなどのお坊さんがこの色の袈裟を身につけています)で表されています。

そして玻璃は水晶のことなのですが水晶って透明ですよね。

透明は色で表わせられませんので五色を並べてその「輝き」を表現しているそうです。

ちなみに仏旗はヘンリー・スティール・オルコットという人の提案により一八八五年にセイロン(スリランカ)のコロンボ委員会でデザインされたものが1950年、世界仏教徒連盟の会議によって正式に「国際仏旗」として採択され青・黄・赤・白・橙の五色で新仏旗ともよばれ世界中で使われています。

第8南組 楠木寺 楠見浄大