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【仏青通信】人生の薬味

郡家別院では若手僧侶の集まりである「仏教青年会」のコラムをまとめた『仏青通信』を配布しています。ホームページ転載にあたり、一部加筆、修正を行っています。

近年は回転寿司のチェーン店が増えてきました。

最近の物価高で値上がりしたとは言え、それでも安価でおいしいお寿司を提供してくれることによって私たちはお手軽な価格で食べることができます。

久しぶりに回転寿司に行って気が付いたのですが、回転寿司では初めからワサビを抜いているお店が増えてきているようです。

理由を調べてみたところ、ワサビが苦手な人やお子さんへの対応、また風味の劣化防止のために必要な人はお好みで後からわさびをつけるという理由らしいです。

このわさびだけではなく、日本の料理には薬味というものの存在が重要です。

薬味とは調味料のように味を付け加えるだけでなく食品に添えてその風味や香りを増し食欲をそそるための野菜や香辛料のことを指します。

例えば香川県で身近な食文化としてうどんがあります。

うどんを食べる時には、ネギやショウガを好みで入れます。

また、冷たいうどんやそばには大根や、ワサビを使う人もいますね。

私自身は大人になるまで薬味をあまり使いませんでした。

醤油や塩などの調味料で味を調えることはありましたが、うどんやラーメンにネギを入れないで食べることもありました。

納豆にネギやからしを入れることも勧められたりしましたが、子供のころはあまり薬味を使うことはありませんでした。

その理由としては薬味には苦み、辛味が強いことにあると思います。

子供がサビ抜きのお寿司を食べるのもそのような理由から。

逆に薬味の良さに気が付くことで大人になったような気もします。例えば、かまぼこに醤油とワサビをつけると風味がでます。冷ややっこにショウガや、ミョウガをのせることで香りを楽しむことができます。

薬味は強い苦みや、辛味などで敬遠されることもあります。しかし、その苦みや辛味の先に香りや風味を感じることができます。

人生にも共通する点があるのではないでしょうか。

例えば、人のアドバイスや忠告は苦みかもしれませんが、その苦みを味わうことで今までできなかったことや新しい物の見方ができ、自分自身の成長につながるのではないでしょうか。

また、マンネリ化した日常よりも新しいことに挑戦して失敗しても刺激のある日常の方が楽しいのではないでしょうか。

子供時代は普通に生活していても新しい発見があり、刺激がある毎日でしたが、だんだん大人になってくるとマンネリ化した日常で刺激が少なくなっていきます。

自分から新しいことを見つけることが大切なのではないかなと思います。

その中で大人になってからの新しい挑戦の失敗は苦みや辛味がありますが、そういった苦みが大人になってからの成長にもつながるのではないでしょうか。

人生の薬味として様々な挑戦をしていくことが大切なのではないかと思います。

第八北組 錦輪寺

鴻池 秀正