郡家別院では若手僧侶の集まりである「仏教青年会」のコラムをまとめた『仏青通信』を配布しています。ホームページ転載にあたり、一部加筆、修正を行っています。
年末にお参りさせていただいているご門徒のおばあさんは、ご主人を亡くされた三年前から、毎朝お仏壇のお掃除をされるのが日課です。
掃除中にいつも「しーのぶちゃんパンがやけたよ」というご主人の声が聞こえてくるそうです。「その声が聞こえてくるたびに嬉しい気持ちになり、またすぐに寂しい気持ちになります」とお話してくださいました。

ある先生のお話で、仏さまの「よびごえ」には二つあると教えていただきました。
一つは「呼び声」です。
これは遠くにいる人に呼びかけるという意味で、まだお念仏の教えに気づいていない(出遇っていない)人に「気づいてくださいよ」と呼びかけておられる「よびごえ」です。
もう一つは「喚び声」です。これはすでにお念仏の教えに気づいておられる人に「忘れてはいけないよ」「念仏の教えを聞き続けてほしい」と喚び続けるという意味の「よびごえ」です。
ご主人の声は今もおばあさんを喚びつづける「喚び声」として、働き続けてくださるように感じます。
おばあさんもその喚び声にうながされてか「なんまんだぶつ」とお念仏をとなえつづけています。
宗祖親鸞聖人も、お念仏を「本願招喚の勅命(真実の世界に目覚めてほしいという慈悲に満ちた喚びかけ)」と受け止め、「お喚び声」と味わいました。
「南無阿弥陀仏」という言葉は、阿弥陀さまの喚びかけそのものです。
この言葉を通して、私たちは阿弥陀さまの慈悲に触れ、人生の確かな方向を見出すことができるのではないかと思います。
おばあさんと一緒に、お正信偈をお勤めさせていただけたことは、とても有り難い時間になりました。
南無阿弥陀仏
第八北組 善行寺
宮川 浩文
