【仏青通信】悪縁がはたらけば

郡家別院では若手僧侶の集まりである「仏教青年会」のコラムをまとめた『仏青通信』を配布しています。ホームページ転載にあたり、一部加筆、修正を行っています。

今年に入ってから全国各地で組織的な強盗事件が頻発しています。

報道によると実行犯として逮捕された者達は二十歳前後の若者が多く、中には金銭に困ってネット上の求人に応募したところ、後になってそれが強盗や詐欺等の所謂「闇バイト」であると判り、脅された末に組織の末端、捨て駒として犯罪に加担してしまった者も多いとのこと。

未来ある若い人達が犯罪組織と接点を持ってしまったが為に凶行に走り、自らの大切な人生を汚してしまうというのは何とも悲しいことです。

宗祖親鸞聖人の門弟、唯円が著したとされる書『歎異抄』十三条には聖人の御言葉として

  さるべき業縁のもよほさば、いかなるふるまいもすべし

という一語が登場します。

人間は何らかの然るべき縁がはたらけばどのような行い、振る舞いでもするという意味です。

私達は長い人生において人との出逢い等様々なご縁をいただいた結果として現在の自分自身があるのですが、もし私達もあの犯罪組織と縁があったならば自分も組織の末端として犯罪行為に加担していたかもしれない。

そう考えると、逮捕された彼らを決して他人事だと考えてはいけないと感じました(勿論犯した罪はきちんと償ってもらわないといけませんが)。

第10組 光明寺 山下智誠