【仏青通信】お地蔵さま

郡家別院では若手僧侶の集まりである「仏教青年会」のコラムをまとめた『仏青通信』を配布しています。ホームページ転載にあたり、一部加筆、修正を行っています。

笠地蔵などの昔話でもよく登場するお地蔵さま。絵や置物などのモチーフに使われたりもして普段の生活の中でもよく目にすることのある馴染みのある仏様ではないかと思います。

お地蔵さまは正式には「地蔵菩薩」といい、サンスクリット語のクシティ(大地)・ガルバ(胎内)に由来していて〝大地のように優しく包み込んでくれる仏様〟という意味があるそうです。

いろいろな場所で見かけるお地蔵さまですが代表的なものではお墓で見かけるものがあります。
みなさんも故人のご命日やお彼岸、お盆などお墓参り行かれたときにお墓の入り口などに六体のお地蔵さまが並んでいるのを見かけたことがあるのではないでしょうか。

この六体のお地蔵さまのことを「六地蔵」といい、六道(苦しみと迷いのある世界)といわれる六つの世界「天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道」を巡って救済を行うため地蔵菩薩が姿を変えたものとされています。また一体ごとに形が違っていてそれぞれに役割と名前があり、

天道の人々を救う日光にっこう地蔵

人間道の人々を救う除蓋障じょがいしょう地蔵

修羅道の人々を救う持地じじ地蔵

畜生道の人々を救う宝印ほういん地蔵

餓鬼道の人々を救う宝珠ほうじゅ地蔵

地獄道の人々を救う檀陀だんだ地蔵

といいます。

六地蔵以外のお地蔵さまもみなさんどこかで見聞きしたことがあるのではないかと思います。

亡くなられた小さな子供を供養するための「水子地蔵」は賽の河原で苦しむ子供たちを救い守ってくれるといわれています。

そして子供が元気に長生きできるように見守ってくれる「延命地蔵」、大切な人の病気の平癒を願う「とげぬき地蔵」、他にも「身代わり地蔵」、「子安地蔵」や道祖神信仰とつながった地域を守ってくれるお地蔵さまなどいろいろなお地蔵さまがあります。

それぞれいろいろな役割のあるお地蔵さまですがどのお地蔵さまにも誰かを救ってほしい、守ってほしいという想いが込められているように思います。

いつも私たちを優しく見守ってくださっているお地蔵さまです。

みなさんもお地蔵さまを見かけたら昔の人たちが何を想い大切にしてきたのか、思いを馳せつつ手を合わせてみてはいかがでしょうか。

第8南組 楠木寺 楠見浄大